プッシュプル式塗装ブースの床面構造
排気室として日本製の塗装ブースの場合、コンクリートでピットを造り、その上に塗装ブースを建てるのが基本です。 外国製の塗装ブースの多くは床上げ式です。床上げ式というのは床面より下に約30cmくらいの空洞を設けて排気室をユニットとして組み込んでいるものです。
床上げ式は平坦なコンクリートの床さえあればそのままブースが設置できるメリットがあります。 しかし、この場合約30cmの段差ができるので、塗装ブースの出入口に乗り上げスロープが必要となります。 この乗り上げスロープを嫌って、塗装ブースの出入口を平坦にするには、あらかじめ段差分の30cmを考慮しなければなりません。 塗装ブース設置部分のコンクリートをカットして掘り下げ、塗装ブースを設置した後、その隙間にコンリートを充填仕上げしなければなりません。
日本製の塗装ブースで必要なピットの深さは1mくらいで、塗装ブースのほぼ中央に造ります。 ピット部分にはグレーチングをはめ込み、さらにユニットに通じるトンネル(スラブ)をつくります。 その上に塗装ブースを設置します。
両者とも床面にはグレーチングをはめ込みます。 外国製塗装ブースは床面全体がグレーチングになっている場合がほとんどで、グレーチングの下にグラスウール繊維の排気フィルターを設置することが多いようです。 日本製の塗装ブースでは床面に排気フィルターを付けることはせずに、排気ユニット内に排気フィルターが内蔵されていることが多いようです。
この違いで塗装作業上、何か変わってくるのでしょうか。 それはブース内で水を使えるかどうかです。
外国製塗装ブースで塗装ブース内に水を撒くとフィルターが水を含み通過減圧が大きくなり空気の通りが悪くなります。 また、床下の排気室の骨組の腐食も心配になります。
塗装ブース内を清掃するとき水道できれいに流したいとおもう塗装作業者は多いでしょう。 日本製塗装ブースに使われるコンクリートピットなら水を流すことができます。 コンリートピットは片側に勾配をとり、50cm角程度の集水舛を設けることで、そこに水がたまるようになっています。