塗装ブースと労安法について
塗装ブースの目的の1つには塗装作業者の作業環境を守ることがあります。
労働者を守るための作業環境の基準が労安法(労働安全衛生法)によって規定されています。 なお、労安法は「職場における労働者の安全と健康の確保」を目的とした法律です。 従業員を雇用していない一人親方には適用されません。
さらに有機溶剤を使用する塗装作業には有機則(有機溶剤中毒防止規則)によっても細かな規定があります。 有機則は労安法を実施するための規則ですので、もちろん従業員を雇用していない一人親方には適用されません。
一人親方には上記規制が適用されませんが、自身の健康のためにはできるだけ労安法や有機則に沿った運用をお勧めします。 なお、一人親方でもVOC排出規制(揮発性有機化合物排出規制)や有機溶剤(危険物)の保管に係る消防法、悪臭防止法などの規制は受けます。
有機則にはプッシュプル型塗装ブースの制御風速や排風量が規定されており、従業員を雇用している工場ではこの基準を満たす必要があります。 国産の塗装ブースメーカーはこの基準に沿って、塗装ブースに使用するファンの種類、馬力等を選定しています。 しかし、国外製の塗装ブースには各国の基準に沿って設計されているものもあるため、国外製の塗装ブースを導入するときは注意を要します。
排気ファンのみの自然給気の塗装ブース(ビーニールブースなど)は局所排気装置の扱いとなります。 局所排気装置は有機則で制御風速が規定されており、この規定の通り運用するには排気ファンの手前約90cm以内での作業を要求されます。 (自動車用ビーニールブースで排気装置が2馬力程度のもの場合)
従って、事実上、自動車を入れての塗装は認められません。排気ファンの手前約90cm以内でバンパーやドア―などの部品の塗装に限られます。
それでも自動車用としてビーニールブースが販売されているのは、もちろん一人親方のためです。
塗装工場に関する法令